ソドムとゴモラ

 その後、アブラハム(米大統領リンカーンの名前の由来)という人が出てきて、イスラエルの土地の所有権を神から与えられます。子どもにイサク(アイザック・ニュートンの名の由来)が生まれましたが、ソドムとゴモラの町は神の前に重い罪をおかしたので、アブラハムの取りなしにもかかわらず、天の火をもって滅ぼされてしまいました。(滅ぼしてばっかりいるなあ……)


 天使から警告されていた甥のロトとその妻はからくも脱出しますが、決して振り向くなと言われていたのに妻は途中で振り向いてしまい、塩の柱になってしまいます。(いまでも砂漠にぽつんと立っているそうです……)。

 その当時のアブラハムがいた場所は、わたしの記憶の限りではメソポタミアあたりだったようです。メソポタミアは農耕地帯で多神教です。日本の昭和時代、神さまのイメージは『髭面の白髪老人で杖を突いている』と思われますが、これはメソポタミアの神がみの中心にあった『エア』からのイメージとそっくりです。メソポタミアが栄えたのは5000年も昔のことですから、非常に強い影響力を持っているようですね。


そんな神々に囲まれて、どうしてヤハウエみたいな神が「本当の神」だということになったのかは、古代エジプトに一時期はやった一神教と関係があると言われています。また、白髪老人で杖を突くイメージも、もしかしたら中国由来の「仙人」的発想で、キリスト教とは無関係かもしれません。専門家ではありませんし、学びたくてもおカネがないので難しいですね。ない袖は振れぬ。

 ともかく、当時から土地の所有権を与えられていたアブラハム。その土地は、イスラエル国を建てるほどに広かったですし、のちにエジプトからユダヤ人が脱出して目指した場所も、その土地(「約束の地」)でした。その後、イギリスで迫害を受けた清教徒たちが、「約束の土地」としてアメリカを目指したのは、この聖書の記述に影響されたからです。まだ見ぬ土地だが、自分たちの信仰にふさわしい豊かな土地に違いない、というのが彼らの信念でした。先住民にとってはとんだ迷惑というところですねえ。


 そんなふうに聖書的影響が強い中で、いまだに根強い影響があるのが『同性愛』に関する禁忌的な感覚です。フランスやアメリカなどではかなり同性愛も一般的になってきて、同性結婚も各地で行われるようになりましたが、日本ではまだまだというところです。その同性愛が、なぜこんなにも嫌われているのか。それは聖書の影響があるからです。


 聖書の記述によると、ソドムとゴモラの町は神の前に重い罪をおかしたと前述しました。のちの人々は、その重い罪とはなにか、聖書に書いていないかどうか熱心に調べました。すると、聖書には、ソドムとゴモラを滅ぼすぞ、と警告にしにきた天使たちを相手に、知り合いたいと押し寄せてくる住民たちがいたと書いてあるのでした。


 知り合いたいというのは、ヘブライ語では「セックスしたい」という意味と同じになります。天使は男性の姿をしており、住人たちも男。つまり、同性愛をしたいという意味だ、とのちの人々は受け取りました。それが神の怒りに触れて滅ぼされたのだと。


 そこで同性愛を『ソドミー』と呼ぶようになり、避けねばならぬ罪深いこと、となりました。同性愛は長い屈折した歴史を歩むことになります。


 また、滅ぼされたソドムとゴモラの町は、いまは観光名所になっているという話を聞いたことがあります。前述したように、砂漠のなかに塩の柱が立っていて、これがロトの奥さんだとガイドさんは案内するのだと聞いています。

 好奇心は猫をも殺すと言うわけですが、そういうところで歴史に痕跡を残してもしょうがないですよね。それに、ほんとうにロトの奥さんが塩の柱になったのかは判らないんです。昔話にありがちなオチのついた話でしかないのかもしれません。

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