STOR #044 惑星アルギリスの殺人鬼

#スタートレック #感情転移 #チャーリー #エンタープライズ #カーク船長

主人公 カーク船長  脇役 アルギリスの殺人鬼

印象に残ったセリフ
モーラ:「私は殺したりはしません。でも妬いていたのは事実です。愛してたんです。…それなのに、あいつがほかの男のテーブルに行ったから私は我慢できずに先に帰っただけです!」
カーク:「嫉妬は、よく殺人の動機になることです」

 

ストーリー
エンタープライズ号は、歓楽の惑星アルギリスに寄港。チャーリーが行った酒場で、ある女が殺害される。側にはナイフを持ったチャーリーが立っていた。調べが進むうち、惑星の長官夫人と宇宙船の女性乗組員が殺害され、おなじくチャーリーが近くにいたという。しかし、意外な事実が明らかになる。

感想(ネタバレ注意)
チャーリー(ノベライズ版ではスコット)が犯人ではないことは明白ですが、
では誰が、何の目的でという謎を追いかけるミステリー形式のエピソード。
カーク船長は、ミステリーと聞いただけで胃がいたくなるほどですが、
部下のために一生懸命、無実を証明しようとします。

このエピソードでの見どころは、アルギリス星の「感情転移」でしょうか。
真ん中に炎を置いて、エンタープライズやアルギリス星の人々が円陣を組みんで囲み、
真犯人をあぶり出そうと試みるシーンです。

この円陣には、黄道12星座のマークみたいな印が、縁取られています。
コレを見ていると、「感情転移」とは、
一種の占いみたいなものに見えてきます。
アルギリスの市長さんが反発するのはムリもない。

再び殺人事件。そのどれにもチャーリーが関わっているとなったら、これはもう、監禁されるっきゃない。
と思ったら、チャーリーはコンピュータにかけられて、その発言の真偽をチェックされるハメになります。
コンピュータが嘘発見器の役割を果たしているわけです。

現実の世界では、もともとポリグラフとは複数の生理反応を同時に記録する装置のことをさしますが,検査でも皮膚電気活動や呼吸,心拍などを同時に測定するので,ポリグラフ検査と呼ばれています。
生理反応は,質問に対して「ウソをつくから」生じるのではなく,それが実際の犯行に関連した内容であると認識するから生じると考えられます。このようなことから,現在はポリグラフ検査は「ウソを発見する」ものではなく,一種の記憶の検査であるとされています。

このスタトレでは、ちょっと違う考え方をしていますね。
ポリグラフがあまりアテにならないのがわかったのは、このドラマの後だったのでしょう。

今回はチャーリー、大災難でしたが、恐怖をくらう相手との戦いは、
あんな結末で良かったんでしょうか。
イヤなことを後回しにしただけ、かもしれない。

STOR #043 復讐! ガス怪獣

#スタートレック/宇宙大作戦 #甘い匂い #ガス状の雲 #エンタープライズ #カーク船長

主人公 カーク船長  脇役 ガロビック

印象に残ったセリフ
カーク船長「きみたち上級士官は、そろってわたしに叛乱をたくらむつもりか!」

ストーリー
エンタープライズは宇宙の一角でトリタニュームの新鉱脈を発見、その惑星で調査をするが、突如ガス状の生物が乗組員を襲い、3名が死亡してしまう。この生物は人類の血を好み、宇宙を移動できるらしい。実はカークは11年前にこの生物に遭遇、200名の命が犠牲になった現場に居合わせたのだった。カークはこの生物と対決することを決意する。

感想(ネタバレ注意)
ある生物に個人的恨みを持っていて、その復讐にこだわるカークは、
『宇宙の巨大怪獣』のマット・デッカーとも共通します。
違いがあるとしたら、カーク船長は、部下のガロビックのことを、
みょうに気にしていることでしょうか。

経験豊かな船長カーク船長と、新任の士官ガロビック。
対照的なふたりと、カーク船長の意外な過去。
それにしても、上陸班員2名が速攻で死んじゃうんだから
いつもながら惑星への上陸って、危険がいっぱいですね。

このエピソードの見どころは、
いつもは対立しているマッコイとスポックが組んで、
カーク船長を罷免しようと試みるところでしょうか。

ガス状の雲なんかに知能があるわけがない。
早く運ばなければ分解してしまう薬を、早く宇宙船ヨークタウンに
運ばなければならないのに、
なぜこんな辺鄙な惑星にカークはこだわるのか。
昔あった事件で、あたまがいっぱいになっているのでは?

いつも忠実な部下たちを疑ったり、
行動がめちゃくちゃになってるのだから、
船長として適任かどうか、軍規に準じて
議論があるのは当然です。

友情よりも、規律を重んじるスポックですが
カーク船長は怒らず、
じゅんじゅんと自分の思うところを述べるのでした。

こういう脚本のできは悪くないと思います。
ファラガット号との関わりを通して、
ガロビックをより、大切に思うようになるカーク船長の
心の動きも丁寧に書いてあります。
ガロビックを慰めに行くスポックさんも
良い味出してます。

しかし、難をいうならば、ラストですね。
反物質を使って雲を倒したということになってますが、
いつもなら、きちんと確認するのに、
今回は片付いたとあっけない。

ちゃんと事件が決着したんでしょうか。
あんなみょうな生物が、まだあの惑星で生きていたら……。
未確認状態で放置していいのか。

モヤモヤ感が半端ないエピソードです。

STOR #042 死の宇宙病

#スタートレック #老化 #アドレナリン #エンタープライズ #カーク船長

主人公 カーク船長  脇役 エンタープライズのクルー

印象に残ったセリフ

カーク船長「からかわないでくれ。キミには、としを取りすぎた」

 

ストーリー

惑星ハイドラ4号に上陸している科学調査団への定期連絡のためそこを訪れたエンタープライズ号。しかし調査団の若者が老衰で死亡しているのを発見する。しかも船内に戻った上陸班もチェコフ以外は1日に30年分の年をとるという急速な老化現象が始まる。しかしなぜチェコフだけは老化しないのか・・・。

 

 

感想(ネタバレ注意)

急激に年を取っていったらどうなるか――

カーク、スポック、マッコイ、チャーリーと上陸班(女性)は、

ある惑星で謎の老化病にかかります。

 

どんどん年を取っていく一行、ただひとりチェコフだけは若いまま。

それでチェコフは、さんざん検査を受けるハメになります。

あれを受診しろ、これを受診しろと。

チェコフはブツブツ、文句を言います。

わたしは思わず、大笑い。

 

見どころは、有能なカーク船長が、年を取って行くシーン。

白髪が生え、シワができ、関節炎が発症する。

気持ちは若いのに、体力が落ちてくる。

老いるって、こわい……

 

エンタープライズ号幹部がみーんな老化していくこのメイクは秀逸です。

『バック・トゥ・ザ・フューチャー2』のマーティ(未来のマーティ)を

思い出します。

あの話は、老化したマーティが出てきました。

あのメイクも凄かった。

 

役者さんの老人メイクでの熱演ぶり。

声優さんも凄いと思った。

老化して短気になったカーク船長のありさまは、

介護や老人と同居している人には、ひとごとじゃないでしょう。

とくにカーク船長は、有能な人だから、

落差がひどい。

 

未来のマーティのメイクも、かなりリアルだったけど

カーク船長のメイクもそうとうリアル。

役を演じる役者たちも、

たいへんそうなのが画面から伝わってきます。

老人の特徴をよくとらえている。

役者は観察力が命です。

 

年を取ることは悪いみたいなストーリーですが

経験値が高くなるとか、威張っていても許されるとかあるし、

年を取るのも悪いことばかりじゃないと思う。

 

たしかに宇宙で的確な判断ができなかったら

すぐ死んじゃう可能性はある。

カーク船長は、年を取ったせいで判断能力が衰えてしまった。

しかし、カークから船長の座を奪ったストッカー中佐は、

若くても頼りにならないのです。

 

ロミュラン帝国に攻撃をかけられ、ブラフで逃げるカーク船長。

復帰したカークが頼もしすぎて、わたしもカトーも思わず笑顔です。

STOR #041 宿敵クリンゴンの出現

#スタートレック #カペラ人 #マッコイ #エンタープライズ #カーク船長

主人公 カーク船長  脇役 皇帝の妻(出産間近)

 

印象に残ったセリフ

女のカペラ星人が果物を持って来る。

マッコイ「武器を渡したから、我々に敵意がないとわかったようだな。もてなしをしてくれているんだよ(女、果物を差し出す。カークが女に手を出そうとする)(マッコイは激しく) やめろ! この星では、女に手を触れたら最後、親族の男に殺されるんだ。これは戦いを仕掛けるワナだ。カペラ人は愛より戦いが好きだからな」

 

 

ストーリー

貴重な鉱物資源発掘権獲得の交渉のため惑星カペラ4号に向かったカークたち。しかし、クリンゴンの使者・クラスが先に来ており、カペラ4号の皇帝アカアーを、皇帝の部下マーブと共謀して殺害、地球軍に戦いを挑んでくる。カークたちは皇帝の身重の妻エリンを守ろうと決意する。

 

 

感想(ネタバレ注意)

 

カークは法律を教える、と皇帝に約束します。「互いに侵略せず、共存共栄する、これがクリンゴンと違うところです!」
スタトレの世界は、ほんとうに理想社会ですね。
侵略しないで共存共栄……。
国家は拡大しなければ衰退する、という論を述べている人に聞かせてやりたい(笑)

 

この話の見どころは、皇帝の妻エリンに触れたドクターの
「女たらし」能力でしょう。
カーク船長が「たらし」ているのは、いつものことだけど
ドクターがねえ。エリンをねえ。うーん。びみょー(爆笑)

 

触れるなというエリンの腹に触れ、妊娠状況を見極めるドクター。
その能力に感動するエリン。
そして、彼以外には触らせなくなるという行動の変化も
見どころですが、

 

1番おもしろいところは、「赤ん坊は夫のモノ」と言うエリンに、
もちまえの正義感から、ドクターが、
「こう言うんだ、赤ん坊は私のモノ! 私のモノ!」
と必死で言うのを、エリンが、弱々しく、
「わかったわ。赤ん坊はあなたのモノ」
と答えるシーンでしょうか。

 

このときの、あわてふためいたドクターの顔ったら!
なんとか誤解を解こうと焦って、
「違うってば!」
と訂正しても、長い習慣で赤ん坊の所有権がないエリンの感覚にはなじめない。

 

このことでわかるように、ばかばかしい習慣でも、いちど染まってしまうと
そこからは、なかなか抜け出すことは難しいってことですね。
マッコイは、この惑星の風習や習慣などにくわしいくせに、
その辺のことを失念しているところが可笑しい。

 

そうして宿敵クリンゴンとの対決。
地球人は3人いるのに、クリンゴンはひとり。
宿敵というわりには多勢に無勢ですね。
クリンゴンはなにを考えているのやら。

 

けっきょく、内政干渉をしたうえに、惑星の歴史に名を残すことになる
マッコイとカーク船長。
権力争いと資源争奪戦の末に、敵側のマーブもほろんでしまった。
エリンが権力を握ることになったけど、
大丈夫なのかなと心配です。

 

 

 

STOR #040 惑星オリオンの侵略

#スタートレック #サレック #スポック #エンタープライズ #カーク船長

 

主人公 カーク船長  脇役 サレック

 

印象に残ったセリフ

アマンダ「地球人の間にながいこといて、まだ笑うことを覚えないのね」
スポック「その代わり、怒ることもありませんよ」
アマンダ「それにわたしたちには、4年も会いに来ないなんて」
スポック「お父さんとわたしの意見の衝突は、変わっていません」

 

 

ストーリー

鉱物資源が潤沢な惑星コリードを惑星連盟に加入させて保護するための会議に参加する高官たちを乗せ、エンタープライズはバーベルへ向かう。中にはスポックの父サレックもヴァルカン大使として搭乗していた。ところが、この会議を妨害しようと惑星オリオンがエンタープライズを攻撃してくる。

 

 

感想(ネタバレ注意)

コリード惑星を惑星連合に加盟させるか否かを巡って政治的な大激論。
そして巻き起こる殺人事件……。

 

ということで、現実のロシア・ウクライナ侵攻問題に話を持って行きます。
ウクライナがNATOに加入すると表明したせいで、ロシアが侵攻してきたわけですが、
国連はなにをやってたでせうか(笑)

 

国連の設立理念は、国際的な紛争を食い止めるという面もあったはずだし、
たしか国連には安全保障理事会というのもあったはずですね。
ロシアが参加していたはずです。

 

拒否権を行使した国があったため、侵略が食い止められなかったとラジオが言っていました。
拒否権なんかナシにしたほうがいいんじゃなかろうか。
いや、そもそも、安保理なんてナシにしたほうがいいんじゃなかろうか。
一部の権力者が、もう70年以上も君臨しているのは異常だ。

 

 

このスタトレエピソードには、殺人は利害から起こるというセリフがある。そして戦争も利害関係から起こることが多い。
スタトレの話の展開がなかなか、スリリングです。
惑星間のあらそいと、親子間のあらそいという対照的なシチュエーションが交差します。

 

ところで、バベルというのは聖書的には、「混乱」という意味があるそうです。
もともとこのバベル、人々が天までとどく塔をつくろうとした土地の名前で、
神さまが、その人間の傲慢さを罰してお互いの言葉を通じさせなくなった(混乱させた)
のが由来だとされています。

 

このエピソードでは、混乱した政治的な利害を巡って、大使を殺したのはだれで、動機はなにかといった、
推理小説の面白さが加わっています。

サレックとスポックのあいだの確執や、アマンダの愛情など、この話も最後までハラハラどきどきの起伏に富んだエピソードになっています。

バベルへの道、という原題にふさわしいお話でした。

 

ウクライナ情勢、ハッピーエンドにおわるといいんですが……。

戦争が終わっても戦後処理というバベルは続くからねえ。

 

 

STOR #039 華麗なる変身

#スタートレック #コンパニオン #若返り #エンタープライズ #カーク船長

主人公 カーク船長  脇役 ゼフラム・コクレイン

 

印象に残ったセリフ

コクレイン「再生したんだ。食糧、水、その他必要な物はすべてコンパニオンがくれる。この惑星の物質から作るらしいな」

ストーリー

 

地球連邦コミッショナー次官ミス・ヘッドフォードが重病にかかり、治療を受けにエンタープライズ号に収容されることになった。彼女を宇宙艇ガリレオで運ぶ途中、不思議なガスのような物体に包まれ、強制的に小さな惑星に着陸させられる。その惑星で、カークたちは、150年前に死亡したはずの宇宙科学者ゼフラム・コックレインに出会う。

 

感想(ネタバレ注意)

カーク「我々人類は、乗り越える障害があって、そのために戦ってこそ生きていけるんだ。
キミはその障害を取り除くんで、人類はやがて弱くなって死んでしまう」

 

愛というものは、時として犠牲を要求するものだ――。
愛のよろこび、愛の残酷さ。
コクレインは、化物にプライバシーを侵害されたと憤慨しますが、コンパニオンの誠実さ、そして愛に気づかされ、認識を変えてしまいます。

 

カークが、コンパニオンは人間じゃないから愛がわからないと指摘した結果、ラストはとても感動的なものになりました。

わたしはボロボロ泣きながら、見ていました。
コクレインとコンパニオンの愛の純粋さ。そして貴重さ。

 

相変わらずスポックは、人間とは本質的に非論理的だと言ってますが、
それでも非論理的な地球人を見放すことはない。
カーク船長やマッコイ、そしてコクレインのために、額に汗して努力します。
批判しつつも認めているのが、スポックのややこしいところ。

 

時代だなと思うのは、男と女は宇宙の間では普遍的なモノだという
カーク船長のセリフ。
わたしの読んだ70年代の小説には、男・女・中性という三つの性を持つ異星人の話を
アイザック・アシモフが書いたものがありまして(タイトルは失念)、
現代のLGBTQにちょっと通じるものがあるかな、と思います。

 

古いドラマでは、男と女には役割があるという考え方が散見されます。
その時代では、その役割をロールプレイングしていれば、社会的に認められた。
だから、スタトレでも、コンパニオンが女性でコクレインが男性だというだけで
この関係が「恋人」になっちゃうんですよ。
当時の価値観がよくわかるね。

 

自由がなければ死んでしまう――。
カーク船長の言葉とは裏腹に、コクレインはコンパニオンと惑星にとどまる決意をします。
愛しあいたいだけですべてを犠牲にしたコンパニオンの
この美しい気持ちにホレちゃったんです。

 

愛は海より深い。感動的な話でした。

STOR #038 ふしぎの宇宙のアリス

#スタートレック #ハリー・マッド #アンドロイド #エンタープライズ #カーク船長

 

主人公 カーク船長  脇役 ハリー・マッド

 

印象に残ったセリフ

ハリー「20万のよく働く人のいいアンドロイドがいたわけだ、しかもどれもが人に仕えるようにつくられておる。ここはまったく、パラダイスだよ」
スポック「だったらなぜ我々を呼ぶ必要がある?」
ハリー「(身を乗り出し)みんながわしを放してくれんのだ。連中は人間というモノを知りたいがために、わしを通じて研究しておるのだ」
カーク「ほお、けっこうな見本だな」
ハリー「言葉に気をつけろ! わしはここの王さまだぞ?」

 

ストーリー

エンタープライズはアンドロイドに侵入され、ある惑星に上陸させられる。そこにはペテン師ハリーがアンドロイドに囲まれて暮らしていた。アンドロイドは人間に奉仕するように設計されており、ハリーを王位につけて世話をしていたが、その生活に飽きたハリーは、アンドロイドが仕える代わりの人間として、カークたちを捕らえたのだった……。

 

 

感想(ネタバレ注意)

 

スポック「人間がその欲望を満たされない状態を、人間の世界では不幸せというんだよ」
幸せとはなにか、というアンドロイドの問いに対して、そんな答えをスポックは告げます。

 

仏教によると、幸せとは、

(ネットより引用開始)

苦しまない状態こそ、私たちが求めている「幸福」であるはずなのに、人間の心はそれを幸福とは認めてくれない。快楽の前提となる「苦」がないからです。だからわざわざ自分を苦境に追い込み、ひたすら自分に苦痛を与えては、その苦痛を解消して気持ちいいと感じるのです。

(引用終わり)

 

アンドロイドの世界は仏教的しあわせの世界?

なんでも願いが叶う世界で、苦しみがあるはずがないですから。

 

カーク船長は、「欠点があるのが人間なら、それを補えるのも人間だ」として、人間に奉仕して幸せにし、支配するというアンドロイドの主張を退けるんですね。
なんでも好きなものを与えられたら、人間は堕落する……。カーク船長は、部下たちが変化していくのを気にかけます。

 

人はパンのみに生きるものではない。
物質的にいくら豊かでも、心が飢えることはある。
いまの日本も、たしかに物質的に豊かになった面があるでしょうが、昔の余裕はなくなった気がする。

 

さて、今回気になったのは、セキュリティ。
物質的に豊かで、なんでも揃うことこそしあわせと信じている
アンドロイドの星では、中心的な存在ノーマンが、すべてを握っている。
60年代のテレビドラマでは、危機管理という概念は、ほとんど見られません。
ひとつを攻撃したら全滅、なんてリスク高すぎませんかね。

 

ラストは爆笑!
アンドロイドをやっつけるためにエンタープライズの乗組員たちが
非合理的な行動をするところはケッサク!
「マッドはウソつきだ。とマッドが言った」
さて、このセリフはほんとうか?!
哲学的命題に挑んだアンドロイド、暴走しちゃってお気の毒(笑)

STOR #037 惑星パイラスセブンの怪

#スタートレック/宇宙大作戦 #呪い #ハロウィン #エンタープライズ #カーク船長

 

主人公 カーク船長  脇役 シルビア

 

印象に残ったセリフ

カーク「(亡霊を見た後に)スポック。意見は」

スポック「趣味の悪いホステスですね」

 

ストーリー

エンタープライズ号はパイラス7号星に立ち寄り、チャーリー、カトー、ジャクソンの3名を偵察班として降ろしたが、ジャクソンが帰艦したとたんに死亡し、チャーリーたちが連絡を絶つという事故が起こる。カーク船長はスポックとドクターを従えて、自らチャーリーたちの捜索に向かう。

 

 

感想(ネタバレ注意)

 

城に亡霊に猫、ホコリに蜘蛛。ハロウィーンをモチーフにしたお話です。

地下牢やら手かせ、断頭台……すべて地球に存在するモノばかり。

それも、悪趣味な部類の地球のもの。

これと同じ趣味のものは、横溝正史の小説にありそうです。

「たたりじゃー!」

 

地下牢に閉じ込められたカーク、スポック、マッコイ。

それを救ったのは、薬を飲まされたチャーリーにカトーなのでした。

そして、エンタープライズのふつーの一行は、魔女(シルビア)と魔術師(コロブ)の恰好をした存在と対決します。

 

魔女シルビアをたらしこんで、この生命体の秘密を知ろうとするカーク。

いつものことだけど、カークさん……あんたはそれしか、能力がないのかい(爆)

 

人間の心に触れて刺激と興奮を知ったシルビアは、おかしくなってしまったとコロブは言います。

その直後、コロブはシルビアに殺されてしまったのでした。

さて、彼らの力の源である「トランスミューター」とはなんでしょうか。

 

人間の夢と野望を手に入れたら、トランスミューターを使ってなんでも思うとおりにする!

シルビアは、人間的な夢を語ります。

人間ならだれでも、自分の思うとおりに世界を動かしたいと思うものだから。

 

人間の弱点を持った超生物、というところは、

『光るめだま』のミッチェル少佐とアイデア的には同じです。

ミッチェルは男でしたが、シルビアは女。

ミッチェルはカークを殺そうとしますが、シルビアはカークとともに宇宙を支配しようとする。

 

最後のオチで、ほとんどマペット人形みたいな生物が出てきて、

スポックが、研究材料にしたいなんて言ってます。

あれだけの目にあわされていても、なんにでも科学的好奇心を抑えられないのがスポックなのだよ。

 

なにもかも幻影だった。

たったひとつの例外をのぞいて――。

夢を描くのは人間の常、しかし夢に殺され、夢に滅ぼされるのも人間。

進歩と成長をするのが人間ならば、夢の功罪にも気をつけなければならないのです。

 

 

STOR #036 宇宙の巨大怪獣

 

#スタートレック/宇宙大作戦 #巨大怪獣 #自動操縦の武器 #エンタープライズ #カーク船長

 

主人公 カーク船長  脇役 マット・デッカー

 

印象に残ったセリフ

カーク「乗組員はどうした」

マット「全員惑星に転送したんだ。あのとき俺たちは戦う力など、まったく残っていなかった。俺には船長として船に残る義務がある。船と運命をともにするんだ。それが船長の義務だろう?

そしたらヤツが攻撃してきて、転送装置が破壊された。それで下に降りた部下たちとは、会えなくなった」

カーク「相手は。何者なんだ」

マット「みんな悪魔などいないというが、いるんだよ。地獄からやってきやがった、見たんだよ!」

 

ストーリー

同僚のパトロール船コンステレーション号が操縦不能となって漂っているのを発見。カークたちが調査に向かって、船長のデッカー准将を収容する。どうやら多くの惑星を粉々に破壊する恐るべき怪物がいるという。ほかの銀河系が戦争に使用した兵器が一人で破壊活動を続けているらしい。その兵器は地球連邦へと向かっており……

 

感想(ネタバレ注意)

この話の元ネタ、たぶん、ハーマン・メルヴィルの長編小説、

『白鯨』じゃないかなあ。読んだことないけど、ストーリーは

ウィキペディアに載っています。

 

自分の大切なものを奪われて、復讐という狂気に陥った主人公、というところが

『白鯨』とこのエピソードの類似点。

たったひとり、自分だけが残されるというところも似ています。

ただ、『白鯨』は、世界十大小説と言われているのに、だれも読まないんですが(滝汗)

 

マット・デッカーは、ほんとうに気の毒でした。

自分では、どうしようもなかった運命だったんです。

400人も最終兵器に殺されたため、怒りと焦燥感で復讐にとりつかれる。

わかるなあ。

 

最終兵器について、「昔水爆があった」とカーク船長が回想するところがあります。

スタトレの時代では、水爆など核兵器は廃絶されているらしい。

でも、そのかわりにフェイザーとか、光子魚雷とか、より強い武器がある。

やっぱり力がモノを言う時代なんですね。

 

とはいえ、その兵器がどんどん強くなったらどうなるか。

最終兵器が、実際に使われたら……。

原爆の惨状を知ってか知らずか、脚本家の想像力はたくましいです。

さすがSF。ファンタジーよりリアリティがある。

だからSFはやめられない(流行らないけど 笑)

 

白鯨めいた『殺し屋』を滅ぼすために、カークたちは必死で知恵を絞ります。

表面のコーティングは、フェイザーをモロともしない物質。

なにをやってもムダという論理的なスポックさん。

しかし諦めないで、最後まで望みをかけるカーク船長。

 

このストーリーで思ったこと。

日本の総理も、希望を捨てずに、核兵器を廃棄する動きを諦めないで欲しい。

たしかに今は、情勢がひどすぎるし、相手も自分もこぶしをあげたままだけど。

 

コントロールできない『殺し屋』が核兵器というものです。

身近な人が殺されなければ目覚めないなんて、愚かすぎる。

 

世界が広島の願いを守り抜いて欲しいと思った話でした。

 

STOR #035 死のパラダイス

#スタートレック/宇宙大作戦 #パラダイス #バアル #エンタープライズ #カーク船長

主人公 カーク船長  脇役 バアル

印象に残ったセリフ

スポック「殺すことを覚えたから、もう人間らしい」

ストーリー

宇宙のパラダイスと呼ばれる惑星ガンマー6号に上陸。しかしそこでカークたち上陸班は住人に殺されそうになる。調べていくと、それは住民たちの崇めるバアルという地中エネルギーの仕業だった。バアルの奴隷と化している住民たちを解放するためカークは作戦をたてる。

 

感想(ネタバレ注意)

内政干渉はしちゃダメなのに、しょっちゅう介入出してませんかね、カークさん。

今回のストーリーは、「惑星ベータ・スリーの独裁者」あるいは「コンピュータ戦争」のアレンジ版です。

スポックとドクターが、ここの住人の暮らしぶりを見て大激論します。

スポックは、ここの住人はこれで満足してるんだからいいじゃないか、と言う。

マッコイは、人間であるかぎり、進歩と成長が必要だと主張する。

千年以上も停滞した生活を送っている人々。そして、エネルギーを欲するバアル。

エンタープライズの危機に対して、カークはやむなく原則をやぶることに。

 

ところで、ここに出てくる神、バアルとはなにか。

旧約聖書には、「ニセの神」として登場し、人身御供をもとめる偶像神として否定されていますが、古代オリエントあたりで信仰されていた嵐の神です。聖書的にはアスタルトを妻とする解釈もあるそう。

彫像などでは、棍棒と槍(稲妻の象徴)を握る戦士の姿で表されており、乾燥している地域では、農業に携わる人々から豊穣神として崇められた存在です。

ですが、悪魔学でも重要視されている神さまだったりします。
このエピソードで、惑星の住民を言いなりにしているバアルの姿がヘビ(悪魔の変身した姿)なのは、決して偶然ではありません。

 

そんなこんなで、住人たちに「自由」という木の実を与えたカーク船長。
しかし、それって身勝手なんじゃないかな。
自由は奪い取るもの、じゃなかったの?

 

スポックが、

これでは『アダムとイブ』の話そっくりだとカークさんを批判します。
聖書の話によると、悪魔が楽園に現れて、そこで幸せに暮らしていたアダムとイブを誘惑し、その結果アダムとイブは楽園を追われるのでした。

 

自分を批判されて、カークは怒るどころかスポックをからかいます。
勝手な思い込みでひとつの文化を破壊したことを、反省しない脳天気さ。
メキシコのインディオ文化破壊を連想させたエピソードでした。