連載:夫の入院~退院#01

1月12日 ひとしずくの光~連載:夫の入院・退院(01)

家族の健康管理には、それなりに自信を持っていたつもりでした。でも、人生の転機というものは、いつも「日常」のふりをして忍び寄ってくるものですね。

「たかが肩こり」という落とし穴

始まりは、夫が毎日のようにこぼしていた「肩が凝る」という言葉でした。「加齢のせいかな」「仕事が忙しいからかな」と、私たちはそのサインをどこかで軽く見積もっていたのかもしれません。

整形外科を訪ねると、事態は予想をはるかに超えていました。「首の骨がすり減っている」という診断。紹介された大病院では、4箇所の摩耗が見つかり、即刻入院・翌日手術という急展開に。

ここで改めて痛感したのは、**日本の医療システムの「冷徹なほどの迅速さ」**です。20年前に私がメラノーマ(悪性黒色腫)を患った時もそうでした。事態が深刻であればあるほど、医療現場に「のんびり」という選択肢は存在しません。そのスピード感に救われる一方で、患者側が心の準備を整える間もなくベルトコンベアに乗せられるような、ある種の畏怖も感じます。

現代病としての側面

夫の病名は「頸部脊柱管狭窄症」。スマホやPCを多用する若者にも増えている病気だそうです。IT業界で長年駆け抜けてきた62歳の夫にとって、これは職業病という名の「勲章」だったのか、それとも身体からの「最終警告」だったのか……。

2025年12月23日から始まった約二週間の入院生活は、まさに怒涛でした。

  • 23日: 家族への手術説明(現実を突きつけられる瞬間)
  • 24日: 手術(祈ることしかできない時間)
  • 25日: リハビリ開始(休む間もない回復への足取り)

鏡としてのパートナー

実は、私自身も「首の骨がすり減っている」という診断を受けています。夫の姿は、未来の私自身の鏡かもしれません。「気をつけねば」と口にするのは簡単ですが、本当の意味で生活習慣を変えるのは、病が目の前に迫ってからでないと難しい……そんな人間の脆さも実感しています。

夫の入院中、いわゆる「鬼の居ぬ間」に、義母と週一でパン屋さんに通ったり、おせちと梅酒で新年を祝ったりしました。入院へのささやかな抵抗、あるいは不安を打ち消すための贅沢だったのかもしれません。

結果、しっかり太りました。 健康のありがたさを噛み締めながら、増えた体重を眺める新年の始まりです。(続く)


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