日本一周ツーリング 前編(ダイジェスト版)
「16日間の日本一周バイク旅〜私の夫・正人の冒険と、私たちの小さな奇跡」
医者から「加齢ですね」と言われたとき、正人は苦笑いしながらも、ひそかに胸を張っていた。還暦過ぎて関節痛なんて…でもね、「夢を、絶対に実現しなくちゃ」って、その日から心が決まっちゃったんです。彼の友人は、日本四端制覇が出来なかったけど、夫は去年、それをやりとげた。日本一周ツーリングだってやり遂げられる。
2025年9月23日。
「マヌルネコ、ついに見られた!」
北海道1日目、旭山動物園からのメッセージが届いたときは、胸が熱くなりました。「原始的な猫」という言葉に、正人がいかに真剣だったか思い出して…。70代のおばさまと猫話で盛り上がっていたと聞いて、彼の子どもっぽい一面を思い出しました。
でもね、旅はすぐに難しくなったんです。雨が続くと、「濡れちゃうよ」と心配した私に「大丈夫! 乗り越えられるから!」って返事。彼ってばずっと頑張りすぎだな…。網走のホテルで送られてきた写真には、びしょ濡れの服を広げて扇風機をつけた部屋が写っていて、「明日も頑張れるように」と書いてありました。
「オレ、雨男かもしれない」
電話口で聞いたその声は、少し震えていた…きっと、初めて雨になったんだなって。いつも家事ばっかりしてる私。「このままではいけない」と思えました。彼の「我儘なロマン」が、実は私たちの幸せにつながっていることに気づかされた瞬間でした。
広々とした北海道のメルヘンの丘写真を見ながら、涙が出てしまいました。「ずっと旅先の風景を大切にしてたんだね」と想いを伝えたら、「つぎは本州だよ」と返事が来たの。あの日から、私たちの小さな奇跡が始まったのです……
(一万字程度の詳細をカクヨムコンテスト・エッセイ部門に投稿予定です。この続きは24日、投稿します)。
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