わたしのネット黎明期
2)1990年代、わたしの裏切り
1990年頃だったと思います。わたしは持病が再発し、しばらくパソコン通信を休止せざるを得ない状況になりました。光瀬龍の弟子さんともトラブルを起こしてコミュニティを脱会。その頃、地元のネット網でユーザーの間でもトラブルが発生していました。Aさんの恋人がBさんの心ない言葉で拒食症になり、入院したというのです。
ちょうどオフ会(実際にネットユーザーが会って話すこと。オフラインミーティング)がある、ということで、持病を押して出て見ました。Aさんはすっかり頬も痩け、なにかに取り憑かれた表情を浮かべていました。Aさんの相談役をしていたわたしとしては、なんとかAさんを励ましたかった。が、自分の病気で手いっぱい。これ以上、重荷を背負うのはと、声もかけずに立ち去ってしまいました。
タクシーに乗り込むと、フリーペーパー記者が乗り込んできて、タクシー券を運転手に押しつけると、わたしに色々聞いてきました。Aさんとはどういう仲なのか、一体何があったのか、あなたはそれをどう思うか。
聞くだけ聞くと、記者はそのまま降りていきました。わたしはタクシーに一人残されて考えに沈みました。あの人、なにがしたかったんだろう。
急に嫌な気持になり、タクシーを途中で降りました。運転手は、「目的地に着いてませんけど」と戸惑っていましたが、たかが500円で自分の友だちを売り飛ばしたみたいな気分になったのです。
ネットの暴言で自殺する人の報道を見ると、Aさんとその恋人のことが脳裏をかすめます。たしかにわたしは現在進行形でも神経が病んでいるかもしれない。でも、何か出来ることがあったのでは。
1995年ごろ、インターネットが公開されました。有名漫画家のアシスタントをしていたという女性漫画家から、「友だちになってください」というメッセージと住所、電話番号、メールアドレスが来ました。こんなわたしでも目に留めてくれる人がいる。純粋に驚き、また、感謝の気持にもなりました。
ところが……。
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