昨日十五日、某スーパーの招待旅行、福岡県柳川の川下りに行って参りました。
【Q:坊ちゃん】広島はバスの街だと聞いてるが、どんなバスがあるんだ?
【A:わたし】普通に市内を走るのは、6社ほどあるんだけど、そのなかでも「赤バス」と「青バス」が有名ね。バスに施されている縞模様の色で見分けるのよ。
縞の色が赤かったら「赤バス」。緑色だったら「青バス」っていうの。
青バスは、広島電鉄が経営しているのよ。
でも、今回使ったバスは広島電鉄とは関係ない、スカイ観光っていう大型バスなの。タイヤが七本あってね。こんな感じ。(写真)
【Q:坊ちゃん】バスの周りに人がいないな。
【A:わたし】これはパーキングエリアで撮った写真なの。みんなトイレ休憩に行っちゃったんだよ。
【Q:坊ちゃん】スーパーの招待客だから、女ばかりが来たんだろう。女はトイレが近いからな。
【A:わたし】四十名近く旅行したんだけど、招待旅行に便乗する形で、一万円ちょっと払えば同行者もOKだったのよ。だから、同行者のなかには、男性もいたわよ。あなたも行けばよかったのに。
【A:坊ちゃん】冗談ばっかり言うなよ。なにが嬉しくて仕事でもないのにわざわざ柳川くんだりまで出かけるんだ。そりゃ、柳川は北原白秋の故郷かもしれないが、そんな有名人の生まれたところを見に行ったって、なんのおもしろさがあるものか。その土地の人間とある程度つきあうってんだったら、まだわかるけどな。
【A:わたし】土地の人と話をすればよかったのはたしかだけど、休憩時間が二十分しかなくて……。お土産を買う程度の時間じゃあ、ぜんぜん面白い話は聞けないじゃないの。
【Q:坊ちゃん】じゃあ、お土産は買ったのか。
【A:わたし】ぎく。
【Q:坊ちゃん】土産話程度だけならどうでもいいような気もするが。事件でもあったのか。
【A:わたし】それは今後のお楽しみ、ということで。

さて、乗り込んだバスのお隣、Nさんは、大阪出身の四十六歳、中学生の子供が二人いる若そうな女性でした。彼女と雑談に盛り上がりました。
【Q:坊っちゃん】女の雑談には興味はないね。
【A:わたし】わたしは面白かったよ。そのNさんは、ファンタジーも好きみたいなの。
「獣の奏者」の話も聞いたし、ハリー・ポッターを原書で読んだ話も聞いたわよ。
【Q:坊っちゃん】 なに、あの分厚い英語の本を、原書で?! おれは英語はきらいだ。
【A:わたし】だから赤シャツが嫌いなのね?
【Q:坊っちゃん】甘ったるい声で、もっともらしいことを言うヤツが嫌いなんだよ。
【A:わたし】「獣の奏者」は、お母さんが亡くなるシーンが鮮烈だったって言ってた。中学生には厳しい描写じゃないかって心配になったそうです。でも、ああいうシーンがあるからこそ、主人公のエリンがそれを心の中で抱きながら、生きていくんだなーと思ったのだとか。
【A:坊っちゃん】小説の解説みたいな感想だな。
【A:わたし】ほんとにそうよ。国々の争いでも、理屈が通じていて、わりと大げさに書いてあるけど、現実でもあるよなーってのが書いてあるんだってさ。だからすごく面白かったんだって。
【A:坊っちゃん】でもしょせん、ファンタジーだもんな。おれは空想よりは、天麩羅そばのほうがずっといい。
【A:わたし】食い意地が張ってるんだから。だったら、途中で立ち寄った毛皮のおしゃれ工場の話なんか、聞いてもつまんないかな。
【A:坊っちゃん】毛皮なんてすかした連中が着てるんだよ。日本男児が着るもんじゃねえや。
【A:わたし】あら、カルーセル麻紀さんなんかは、あのおしゃれ工場に行って、気に入ったからってファーの着いた服だかバッグだか買ってったって言ってたよ。一個六十万なり。とても手が出ないのに、現金払い。すごいねえ。
【A:坊っちゃん】毛皮ってそんなにいいものなのか? 理解できん。
写真はお昼に立ち寄ったホテルセキアのバイキング料理です。

毛皮の工場、「おしゃれ工房」で一時間も毛皮を見ていたら、手が出ない自分がだんだん悲しくなり、惨めになってきました。毛皮なんて似合わないのに、Nさんが試着しているのを見るとうらやましくなるんですね。
【Q:坊っちゃん】そこの売り子に、いろいろ質問したんだって?
【A:わたし】そりゃそうよ。せっかく土地の人と仲良くなるチャンスじゃないの。ネタになりそうな話が聞けるかもと思ったのよ。毛皮のことは聞かなかったわ。くやしいもの。
【Q:坊ちゃん】そのおしゃれ工房は、佐賀県にあるそうだが。
【A:わたし】そうそう。佐賀って、印象が、あまり強くないじゃない? 北九州だったら長崎か福岡って感じで。はなわくんが昔佐賀の歌を歌ってたなー、って思うだけじゃないの。だから、佐賀で有名なところってどこですかって。
【Q:坊ちゃん】ずいぶんぶしつけな質問だな。売り子も大変だ。
【A:わたし】質問してよかったよ。佐賀には、「がばいばあちゃん」がいるんだって。そのおばあちゃんのゆかりの土地を案内するバスツアーがあるんだそうです。ドラマのロケ地めぐりとかね。
【Q:坊ちゃん】そいつらもヒマだね。
【A:わたし】工場では写真撮影が禁止されていたから写真は添付できないけど、そのおしゃれ工房にカルーセル麻紀さんが来たときのことも聞いたわよ。カルーセル麻紀さんは、背が低くて、もとは男性なのに胸がばーんと出てて、腰もしっかりくびれてたそうです。
【Q:坊ちゃん】人の好みをどうとか言うつもりはないが、日本男児に胸が張り出てるのには、あまりそそられないな。
【A:わたし】あなたも女の子が好きなの? 関心なさそうだったけど。
【Q:坊ちゃん】男というのは、色恋にそれほど熱を上げるもんじゃない。 りっぱな仕事をしてこそ、男というものだ。最近のひきこもりは、あまえてるんだ。
【A:わたし】明治の男ってこれだからね。外に出て行くから立派だとも限らないけど。まあ、ともかくそのおしゃれ工房のセールスマンが、セーブルって毛皮が一番高くて、いま一番買い時なのがウィーゼルという話をしてくれたわ。ウィーゼルは子供が少ないし、獲れる数が少ないんですって。今後、値上がりするので、今がお買い時だそうです。
【坊ちゃん】商売上手だね。
おしゃれ工房を脱出して、ホテルセキアへ。昼食のバイキング料理を食べました。
ロビーにひな人形がかざられていました(写真)。

【Q:坊ちゃん】ホテルのロビーにひな人形か。なかなかしゃれてるが、おい、ビニールがかぶさってるぞ?
【A:わたし】ほこりがかぶらないように、じゃないの?
【Q:坊ちゃん】このホテルは結婚式もやるのか。花嫁衣装が置かれているな。(写真)

【A:わたし】坊ちゃんの時代にも、ウエディングドレスってあったの?
【Q:坊ちゃん】結婚を異様に意識するのは男じゃないね。だいたいなんだ、この写真の男は。でれでれ嫁さんを眺めやがって。もっとしゃきっとせんか、しゃきっと!
【A:わたし】やっかんでるー。
【A:坊ちゃん】なにをいうか。やがて嫁さんになる人間の花嫁衣装を、結婚前から見たら不幸になるんだ。そんなことも知らないのか。
迷信深いやつだな、と思いつつ、ホテルの中を散策します。連れのNさんが、
「土産物屋に行きたい」というので、隣の部屋に行きますと、ジブリ作品をあつめた雑貨屋が目に飛び込んできました。(写真)

【わたし】トトロだ!
【坊ちゃん】なに、トロだって? すしなら江戸前がうまいぞ。
【わたし】じゃなくて、宮崎駿の映画に出てくるキャラクターのことよ。あれっ、店の前でトトロと一緒に、写真を撮ってるオジサンとオバサンがいる。
【坊ちゃん】日本人も幼児化したもんだな……。
なげく坊ちゃんを尻目に、Nさんがやってきて、
「ここにはいいものがなかったわ」
と言って、観光バスに乗り込みます。
ちなみにNさんは、取り放題だからということで、「驚いちゃいけないわよお、わたしすごく食べるから!」という言葉通り、バイキング料理をがっぽがっぽと三杯おかわりし、パンをばくばく食べておりました……。
いよいよ柳川川下りです。当日は雨が降ったら温泉に入ることになっており、予報では降水確率四十パーセントだったので、折りたたみ傘を持っていきました。しかし、今にも降りそうな天気でしたが、なんとか雨は降らずに済みました。舟は渡し舟で、船頭さんが漕いで水門まで行きます。今月はお堀の掃除のため、水門近くまで往復三十分しか乗れませんでした。水上だったのですごく寒かったです。こたつ付きでしたが。
【Q:坊ちゃん】船頭さん(写真)が、シロウトくさかったって?

【A:わたし】初心者だったのよ。下手な歌を三つも聴かされてしまいました。
わたしねえ、音痴には二通りあると思ってるの。
【Q:坊ちゃん】二通り?
【A:わたし】信念をもった音痴か、へなへな音痴か。その船頭さんは、へなへな音痴でしたね。歌い方が女っぽいの。あなたはアレルギーを起こしそうね。松山の船頭さんのほうが手品師か詐欺師みたいに語りがうまいのよ~。
【Q:坊ちゃん】慣れてないんだから、少し目こぼししてやったらどうだい。事故もなく、転倒もなかったんだろ。つまらんといったらつまらんが。
【A:わたし】お堀に、アヒルとカモのニワトリがいたよ。(写真)

【Q:坊ちゃん】(写真を見て)ニワトリなんていないじゃないか。
【A:わたし】二羽の鳥でニワトリ。
【坊ちゃん】くだらん。それは船頭の受け売りじゃないか。
【A:わたし】ばれたか。
それから柳川の街を散策。ひなまつりが近いらしく、「さげもん」という、モビールみたいなのを見つけました(写真)。

【Q:坊ちゃん】おひなさまと一緒に飾るのか。変わってるな。それに綺麗だ。
【A:わたし】すごく変わった飾りもついてたよ。エビがいっぱいつながってるのとか。店内に入り込んで、おひな様の飾りも撮ってしまいました。なんだかほんとに旅行した! って感じだったな。柳川の町には、魚屋はあってもスーパーがなかったの。不便そうだったけど、情緒はいっぱいあったな。楽しかったです。
柳川川下りで、「あわて床屋」「この道」「待ちぼうけ」を聞かされた後、街を散策して「さげもん」を眺めつつ北原白秋の生家へ。門構えが立派で、ちょっと武家屋敷っぽかったです。
【Q:坊ちゃん】柳川の川下りには、結婚披露にも使われるそうだな。
【A:わたし】そういうときは「川下り」と言わず、「川上り」っていうらしいわね。
二十分間しか休憩がなかったので、結局ここでも地元の人と交流できずじまい。
かわりに、Nさんとレシピ話で盛り上がりました。
【わたし】Nさん、豆腐料理が好きなんだって。
【坊ちゃん】団子もいいぞ。
【わたし】団子で思い出したけど、柳川のお土産に、「いきなり団子」ってのがあるんだって。あんこの部分が芋になってるの。
【坊ちゃん】うまそうだ。
【わたし】買わなかったけど。そうそう、おしゃれ工房でおみやげをもらってきたの。ちんちらのストラップだよ。(写真)
【坊ちゃん】やたらかわいいが、子供っぽいな。
そんなこんなで、帰りの売店での夕食はサンドイッチも売られておらず、佐世保バーガーかあんぱん。佐世保バーガーは量が多すぎるのであんぱんを買って食べたら、胸焼けがして、バスの中でおろおろおろーっと吐いてしまいました。
ご迷惑掛けて済みませんでした、Nさん……。
【坊ちゃん】酔うんだったら薬を添乗員に貰えばよかったのに。
【わたし】アレルギーがある人もいるから、添乗員も気軽にあげられないのよ……。
結局、Nさんとメール交換をしようという計画は、この事件のためにぽしゃってしまいました。それに、Nさんはパソコンを打つスピードが遅すぎて、パソコンが面倒なのだそうです。
【坊ちゃん】事件というのは酔ったことか。つまらん。
写真:さげもん・えび、民芸品売り場、チンチラのストラップ。



☆バスの中でクイズがありました。そのなかで、バスのタイヤの数はスペアも含めていくつでしょう、というのがありました。前に二本、後ろに四本、スペア一本で七本だったのですが、わたしは十本ぐらいかなと思ってました。
クイズの正解者には、お菓子が配られておりました。
おしゃれ工房のクイズは、全問正解者に携帯ストラップをプレゼントされましたが、ひとりしか正解者がいなくて、結局じゃんけんでストラップをわけることになったのでした。かわいいストラップなので気に入ってます。